なぜ娘への性的虐待が無罪に?日本のおかしな裁判を紹介

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今回の記事は娘への性的虐待が無罪になってしまう抗拒不能(こうきょふのう)の問題についての内容になります。この記事を読むことで日本の法律の問題点を学ぶことができます。

抗拒不能(こうきょふのう)について動画で学ぶ

抗拒不能(こうきょふのう)とは

国語辞典で「抗拒不能」は下記のように記されています。

心神喪失ではなく、身体的または心理的に抵抗することが著しく困難な状態。例えば、手足を縛られている、酩酊している、高度の恐怖・驚愕 (きょうがく) ・錯誤に陥っているため、意思決定の自由を奪われている状態をいう。

性犯罪においてはシンプルに表現すると「抵抗できない状態」になります。

抗拒不能(こうきょふのう)だったかどうかが裁判では重要

実の娘に性的暴行を繰り返して準強制性交等罪に問われた父親の上告審のケースでは身体・心理的に抵抗するのが難しい「抗拒不能」だったかどうかが争点となりました。

娘に「逃げようと思えば逃げられたんじゃないか。もっと早くに助けを求めることはできたはず」という意識があったこともあり「被害者の人格を完全支配し、強い従属関係にあったとまでは認めがたい」として「抗拒不能」の状態を断定することができず無罪判決となりました。

性犯罪において刑法178条2項は意に反する性交の全てを準強制性交等罪として処罰しているものではなく、相手方が心神喪失または抗拒不能の状態にあることに乗じて性交をした場合や、暴行または脅迫を手段とする場合と同程度に相手方の性的事由を侵害した場合に限り同罪の成立を認めています。

準強制性交等罪は「心神喪失」または「抗拒不能」がないと成立しないのです。

性犯罪は厳罰化しているが抗拒不能(こうきょふのう)の証明は難しい

2017年には刑法が改正され「強姦罪」は「強制性交等罪」に罪名が改められました。

親など監督・保護する立場の人間が18歳未満の子どもにわいせつな行為をした場合は、暴行や脅迫がなくても処罰される規定が作られるなど性犯罪が罰則化されました。

しかし、性暴力において抵抗できないほどの「暴行・脅迫」があったことや、抵抗することが困難な「抗拒不能」の状態であったことを証明することが難しい状態です。厳罰化されても、証明が難しいので加害者がず無罪となる判決が相次いでいます。

抗拒不能があいまいな問題

「抵抗できない状態」とな何なのか?今も「抗拒不能」がどのような状態なのかはあいまいなままです。 裁判官に判決を委ねるしかない状況にあります。

加害者が被害者が同意していたと誤解していて、抗拒不能であることを認識していなかったとして無罪になったケースもあります。

「抗拒不能だと知らなかった」という主張による、無罪判決は今後も起こり得ます。

有罪の要件である「抵抗できない状態」について「被害者の人格を完全に支配するような状態」いうことまで求められると有罪は厳しいです。

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この記事を書いた人(著者情報)

片山定春

法律ビッグバン編集長。昭和生まれの30代でWebディレクター。法律に関するニュースと知識を吸収しつつ、法律ビッグバンを有名なWebメディアサイトに成長させつ為に日々勉強中。

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